労働時間と休日に関するQ&A
Q | 業務の都合で従業員を地方に出張させなければならなくなり、休日である日曜日に出発させました。当社では、日曜日を法定休日と位置づけていますが、その日は休日労働として扱わなければならないのですか? |
A | 通達では、「出張中の休日はその日に旅行する等の場合であっても、旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合の外は休日労働として取扱わなくても差支えない」とされています。 休日に出発して出張先まで旅行するときに、その旅行が商品等の物品の運搬や看守等を目的としたり、監視等をするよう特別に指示されている場合には休日労働となりますが、単に必要書類等を持って移動するのであれば休日労働とはならないと考えられます。 |
Q | 派遣労働者に時間外労働を行わせる場合に必要な36協定の締結・届出義務は、当社(派遣先)または人材派遣会社(派遣元)のどちらにあるのですか? |
A | 派遣労働者についての36協定の締結・届出はは、派遣元が行わないといけません。 派遣元が36協定を締結して、所轄の労働基準監督署に届出たときに派遣先はその協定で定めている限度内で派遣労働者に時間外・休日労働を命ずることができます。 |
Q | 従業員ごとに違ったパターンの1ヶ月単位の変形労働時間制を採用することは可能なのですか? |
A | 基本的に可能です。1ヶ月単位の変形労働時間制は、個々の従業員、班、職場等ごとに採用することができますが、就業規則等にそれぞれのバターンごとに各日、各週の労働時間を具体的に定める必要があります。 |
賃金に関する&A
Q | 最低賃金に含まれない賃金にはどういうものがあるのですか?また、労働者の同意を取って、最低賃金を下回る賃金を定めた場合には有効なのですか? |
A | 最低賃金に含まれない賃金は、精・皆勤手当、通勤手当、家族手当、1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナスなど)、臨時に支払われる賃金(結婚祝金など)、時間外・深夜労働および休日労働に対する賃金があります。 最低賃金を下回る賃金を定めた場合は、たとえ労働者の同意があったとしても、それは法律により無効とされます。その場合には、最低賃金と同額を定めたものとみなされます。 |
Q | 給与支払日が休日に当たる場合には、その日を繰り下げることも可能と聞きましたが、支払日を毎月月末とし、その日が休日の場合は翌日に支払うというのは問題ないのですか? |
A | 支払日が休日の場合に繰り下げること、及び支払日を月末とすること自体は可能ですが、月末の支払日を繰り下げた場合には、翌月の支払となり、労働基準法第24条第2項に定める「毎月払いの原則」に反することになります。 「毎月払いの原則」の毎月とは、暦に従うものとされていますので、毎月1日から月の末日までの間に少なくとも1回は賃金を支払わなければなりません。 |
Q | 現在、給与を現金で支給していますが、今後、銀行口座への振込にしたいと考えています。 この場合、口座振込みにかかる手数料を従業員に負担させ、給与から控除することは可能ですか? |
A | 振込み手数料の負担については、労働関係法令等には特に定められていませんので、民法の規定により判断することになります。 民法第485条では「弁済の費用について、別段の意思表示がないときは、その費用は債務者の負担とする。」とされていますので、一般原則としては、給与の支払い義務がある会社が手数料を負担することになります。 ただ、民法は任意規定ですから、「別段の意思表示」があれば手数料を債権者の負担とすることも考えられるため、個々の従業員の同意を得て手数料を従業員に負担させることも可能といえます。 ただし、手数料を給与から控除して支払うためには、書面による労使協定が必要となります。 |
退職と解雇に関するQ&A
Q | 期間を定めて雇用する従業員に対し、契約当初から3ヶ月間を試用期間として雇用契約を締結し採用しています。その試用期間満了に合わせて退職を申出てきた場合、会社は1年契約を根拠にその退職を拒むことができるのですか? |
A | 期間の定めのある雇用契約について民法では、やむを得ない事由がある場合でなければ、労働者側から契約を 解除できないとされています。よって、労働者側にやむを得ない事由がないときは、退職を拒むことも可能であると考えます。 |
Q | 退職願は本人の直筆でなければならないのですか? |
A | 退職願は、本人の直筆および押印が望ましいものであり、有効なものと推定されますが、絶対そうでなければならないということはありません。 本人の直筆で押印がある退職願だとしても、退職願の提出に錯誤、強迫等の瑕疵があれば、退職そのものが影響を受けることになりますし、また、本人が作成したものでなくても本人の真意に基づいたものであれば、有効として取扱っても問題はないと考えます。 |
Q | 解雇の無効など効力について争いが生じた場合には、労働基準監督署で取扱ってもらえるのですか? |
A | 解雇についての客観的合理的理由や相当性について、労働基準監督署は判断したり処理することはできません。 ただし、労働基準監督署には労働局の個別紛争解決制度(あっせん制度)の申請窓口として総合労働相談コーナー設置されていますので、そちらで申請することができます。 |
Q | アルバイト従業員を雇用していますが、中には1日、2日で退職する者もいます。この場合、新たに求人広告を出すことになるため費用がかかってしまいます。この費用を求職者に請求したいので、雇うときに予め承諾書をもらっても良いのですか。? |
A | 予め定めた損害額を請求することを約束することは、労働基準法に抵触し違法となります。 有期労働契約の契約期間中の退職や遅刻、無断欠勤、不注意に不良品の生産などあったとしても、これらについて損害賠償金を予定することもできません。 |
Q | 民事上では普通解雇の有効性をはどのように判断するのですか? |
A | 裁判所は、勤務成績、勤務態度等が不良で職務能力や従業員としての適格性があるかどうか、また、規律違反行為があるかどうかを総合的に検討するようです。 勤務成績、勤務態度等が不良で職務能力や従業員としての適格性があるかどうかについては |
Q | 転勤命令を拒否した場合は、解雇されるのですか? |
A | 解雇もありえますが、転勤の命令が有効であることが前提となります。 その命令が、業務上に必要性がない場合、不当の動機や目的の場合、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるような場合には、その転勤命令は無効となる可能性が高いと思われます。 有効な転勤命令を拒否すれば、業務命令に違反することになりますので懲戒の対象となると思われます。 会社としては、転勤命令を拒否したからといって即解雇の措置を取るべきではなく、転勤の必要性や拒否の理由を聞き取るなどの措置を講ずることになると思います。最終的に転勤命令を拒否するのであれば、最終期限と措置を文書(内容証明)で通告することになると思います。会社としては懲戒に際して二重処罰にならないよう注意する必要があります。 |